【介護技術】習得のポイント

「介護技術の習得」
介護職初心者や勉強中の方が、この介護技術の習得で悩まれている場面を度々お見受けします。

ご質問を受けることが多い内容であるため、ポイントをまとめました。

勉強中の方、施設や事業所等の研修・勉強会・新人研修をご担当の方の参考になれば幸いです。

なぜ習得できないのか?

回答

「根拠がわからないから」

技術習得で悩んでしまったり、混乱してしまう理由は「技術展開の根拠がわからないため」である事が多いです。

しば
しば

説明が不十分と感じられるかもしれませんので、事項でさらに掘り下げてみます。

習得を妨げる要因

なぜ「根拠がわからない」という状態となってしまうのでしょうか?
「学び方が悪い!」と言われてしまうこともありますが、それだけではないのかもしれません。

習得の妨げとなる要因を、「学ぶ側の要因」「指導者側の要因」に分けて考えてみます。

学ぶ側の要因

①「覚えるだけ」という学び方をしている

動作の理由を考えず「動き方・動く順番」だけを覚えようとしてしまっている事が多いようです。

「なぜそのように動くのか」が理解できないまま練習しても、なかなか習得に近づけません。
疲れるだけで、気持ちも折れてしまいます。

根拠が確認できれば、「動き方も順番も覚える必要はない」と思えるようになります。

②質問をしない

わからない点について、質問をしないため理解が深まらない。
結果、到達地点が見えないまま実施している状態となるようです。

自発的に質問することで、習得への大きな助けになります。

③学ぶ意欲がない

この要因については、ご本人にしか解決できません。
その周囲の学びたい方々は、ご自身の意欲を削がれないよう勉強や業務に集中しましょう。

指導者側の要因

①禁止・制限が多い

「こうしなければならない」「これはダメ」など、禁止や制限の多い指導を見聞きします。

リスクについて説明することは重要であり、その理由が理解できれば学びになります。
しかし、制限を増やすことは学ぶ側が考える余地を減らしてしまい、思考停止を招く恐れがあります。

また、「失礼だから・・・」等の主観的な理由を制限に加える指導も見受けます。
指導場面で主観を述べる際は注意すべきです。ひとつの意見として参考にはなっても、根拠にはなりません。

このような指導について、考えられる理由はいくつかありますが、諸般の事情により説明は控えます。

「ダメ」や「すべき」と断定的な事を言うためには、相応の根拠と十分な説明が求められます。

②指導技術

私自身も該当し、注意すべき要因です。

・伝えるための努力不足、表現力不足
⇒ 理解しやすくなるための工夫がない、嚙み砕いて説明できない
・説明不足、説明過多
⇒ 曖昧・抽象的な表現を多用、相手の理解力を信じていない
・勉強不足
⇒ 指導者自身が理解していない
・質問させない雰囲気
⇒ 高圧的な指導

また、学ぶ側の要因とつながりますが、「覚えてもらうだけ」「自身と同じ動きを求める」という指導は習得に繋がり辛いでしょう。

解決方法

①「わかりません」や「なぜですか?」を言えるようになる

上司や先輩、講師などからの指導場面では、理解できないまま「はい!」と言ってしまう方も多いようです。「なぜそう動くのか?」「ダメ」「しなければならない」の理由が不明なままでは、習得できません。「わかりません」「なぜですか?」を上手に言えるようになりましょう。

また、指導者側は一方通行の指導とならないよう注意が必要です。
適宜質問の機会を設ける等の工夫することで、指導効果の向上が図れます。

②質問する(効果と注意点)

前述のとおり、自発的に質問することは習得への大きな助けになります。
質問や更に詳しい説明を求めることは悪い事ではありません。

業務中や複数の方と一緒に勉強している場合は、質問し辛いかもしれませんがそれでも質問しましょう。そこで質問できる力は、社内会議やサービス担当者会議などの場面でも役立ちます

「時間の都合上、これ以上は受けられない」、「ご利用者の前での質疑応答は不可」という事もあるため、質問可能なタイミングを確認しましょう。
※個別の質問も有効ですが、相手の時間を奪うという点に注意が必要です。

まとめ

・「動き方」や「順番」の理由が理解できれば、指導者と同じ動作でなくても良い
・「なぜ?」と思いながら学ぶことで、根拠を説明できるようになる

「介護技術に絶対はない!」と言われます。
支援の方法は様々であり、「ご利用者」「環境」「支援者」等により変化します。

しば
しば

ご利用者は「ニーズ」を満たしたいのであって、介護して欲しい訳ではありません。

介護は「ニーズ」を満たすための手段であり、目的ではありません。

今回は技術習得について説明しましたが、私は声かけ・助言を含め「介護しない」を心掛けています。